匂いは生理的に作用し、臨場感を大幅に増加させる
結果、匂いの追加は、匂いのないVR環境と比較して、参加者の空間的な臨場感を大幅に増加させていることが示されました。
参加者もアンケートで匂いがある場合の臨場感やリアリティを高く評価しました。
ただ、感情を測定するPDAモデルの3つの指標「快感(pleasure),覚醒(arousal),優越(dominance)」に変化はありませんでした。
バイオハザード7の世界はすでに完成されているので、感情の振れ幅には匂いのある無しで大きな変動はなかったのかもしれません。
ただ、生理的には身体は影響を受けており、体感としては臨場感が大きく増していると感じるようです。
バイオ7をプレイ済みの人からすれば、「あんな世界に腐敗などの匂いを追加して体験するとか冗談じゃない」と思うかもしれません。
しかし、VR環境は単にゲームだけで利用されるものではなく、仮想トレーニングや、パニック障害治療などのVR暴露療法でも活躍する技術です。
より生理的に効果が高く、臨場感をともなうVR環境の構築は、こうしたVRを利用したさまざまなアプリケーションに有用な知見となるでしょう。
VRへの匂いの追加は、まだ研究段階のものとはいえ、実際に米新興企業の「OVRTechnology」なども製品化に取り組んでおり、実現は近い技術です。
香りは、主に私たちの記憶や感情に関連した領域である大脳辺縁系に作用します。
匂いを嗅いで、記憶がふわっと広がる感覚を味わったことのある人も多いでしょう。
実験モデルがバイオハザード7だったせいで、あまり歓迎する気分になれませんが、VR環境への匂いの追加はさらなる仮想空間の没入体験に大きく貢献していきそうです。
いずれは、本格的に匂いが追加されたバージョンのバイオハザード7が発売されることになるのでしょうか?
クリア率がさらに下がりそうです。