「謎の渦」の原因は、「謎の偵察衛星」打ち上げだった
光の渦の正体は、アメリカの宇宙企業「SpaceX」が打ち上げたファルコン9ロケットだったと推定さています。
SpaceX社は、光の渦が観測された2時間前に、アメリカ・カリフォルニア州のバンデンバーグ宇宙軍基地から商業用ロケット「ファルコン9」を打ち上げているのです。
彼らのミッションは、アメリカ国家偵察局(NRO)の偵察衛星を軌道上に届けることでした。
NROは国防総省や諜報機関に情報を提供する政府機関であり、その活動すべてを明かすわけではありません。
今回の偵察衛星も機密扱いなため、詳細は明かされておらず、NROも「衛星の打ち上げは成功した」とだけ報告。
そして光の渦は、この衛星が打ち上げられた際に、ロケットから切り離された部品を星空カメラがとらえたものだったのです。
ファルコン9の1段目は再利用するために回収されます。
しかし2段目は使い捨ての部品であり、人工衛星を軌道に乗せた後は再び大気圏に突入します。
そしてオランダの科学者マルコ・ラングブルック氏は、「切り離されたファルコン9の2段目が推進剤を排出しながら落下する際に、渦巻き状になることがよくある」と説明しています。
The post-deorbit-burn fuel vent from the Falcon 9 upper stage that launched #NROL85 was seen and filmed from Hawaii yesterday.
The spiral shape is often reported with such Falcon 9 stage venting events.
The stage was deorbitted at the end of the 1st rev.https://t.co/USByeGbtPA— Dr Marco Langbroek – 🇺🇦 #vaccinate (@Marco_Langbroek) April 18, 2022
つまり使い捨てのロケット2段目が残留ガスを噴射しながら回転。そこに太陽の光の反射が合わさって、星空カメラに映し出されたというわけです。
機密扱いの「謎の衛星」が打ち上げられた結果、自然現象が作用し、ハワイ上空で「謎の渦」が観測されたのです。
謎が謎を呼んで大きな話題となりましたが、多くの人が関心をもったことで情報が集まり、原因を解明することができました。
もしかしたら今後も、人工物や人類の思惑、そして自然現象が偶然合わさった結果、「不思議で奇妙な謎」が生まれるかもしれませんね。