ハドリアヌスの長城に「男性器」の落書きを大量発見!
ハドリアヌスの長城は、人気海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』に登場する「壁」の元ネタになった建造物で、現在のイングランド北部に存在します。
紀元前753年に始まった古代ローマの歴史は、紀元前27年に帝政時代に入り、トラヤヌス帝(在位:98〜117)の時代に最大版図を実現。
帝国の領土は、東はメソポタミア、西はイベリア半島、南はエジプト、北はブリテン島にまで及んでいます。
帝国がブリテン島まで領土を広げたのは1世紀半ば頃ですが、しばらくの間は、北部スコットランドからの侵入者に悩まされ続けました。
そこでハドリアヌス帝(在位:117〜138)は、122年、イングランド北部とスコットランドの間に境界線を引くため、長城の建設を開始します。

完成には10年を要しましたが、長さ118キロ、高さ4〜5メートル、厚さ3メートルに及ぶ巨大な長城が築かれました。
また、6キロ間隔で要塞も建築され、要塞には500〜1000人のローマ兵が配備されたと言われています。
ハドリアヌスの長城は、異民族の侵入を防ぐことに成功しただけでなく、ローマ帝国がこれ以上、版図を広げないことを明示した記念碑的な建物となったのです。

そして時は経ち2019年、ヒストリック・イングランドとニューカッスル大学の共同研究チームは、長城のすぐ近くにある採石場にて「男性器の落書き」を発見しました。
この採石場は、長城の修繕に用いる石材を調達するために、ローマ兵がよく滞在した場所です。
記録によると、ハドリアヌスの長城は207年に大規模な修繕・増築を行ったことがわかっており、この落書きもその頃のものと考えられています。
また、男性器の落書きは採石場だけでなく、長城の壁沿いにも数多く点在しています。
結局、この時の調査では、計57点の男性器の絵が確認されました。

では古代ローマ人は、なぜ男性器をそれほど頻繁に描いたのでしょうか?
ローマ帝国における「男性器」の意味について、次に説明していきます。