本物の「月の土」での植物栽培に成功!
人類はこれまで何度も月探査を行い、さまざまな月の土のサンプルを持ち帰ってきました。
これらの土の分析も活発に行われており、月の土は主に酸素・鉄・ケイ素など、地球でもありふれた元素によって構成されていることが判明しています。
そのため月の土で地球の植物が育てられる可能性について、古くから議論が交わされてきました。
月の土で植物を栽培することができれば、将来の月面基地における酸素供給と食料供給の問題が一気に解決に近づくと考えられてたからです。
そこで今回、フロリダ大学の研究者たちは、11年間におよぶ申請を経て、ついに本物の月の土「12g」を実験に使うことになりました。
これら月の土はアポロ11号・12号・17号が持ち帰ったものです。
実験対象として植えられることになったのは「植物界のマウス」とも言える、シロイヌナズナでした。
動物実験においてマウスやショウジョウバエ、線虫などが集中的に研究されているのと同じように、シロイヌナズナは植物の世界では最も盛んに研究対象にされているものの1つです。
実験ではまず月の土を1gずつ採取し、水と栄養を加えた後にシロイヌナズナの種が植えられ、発芽に適した温度で管理されることになりました。
また比較として月の土を模倣した人工土でも同様の実験が行われました。
すると48時間~60時間にかけて、全ての種が発芽し、双葉を形成し始める様子が観察されました。
この結果は、月の土は植物の発芽に関連するホルモンやシグナルなどを邪魔しないことを示します。
ですが時間が経過するにつれて、奇妙な違いもみられることが判明しました。
月の土が採取された場所によって、植物の生育に違いがでてきたのです。