人間を対象にした第1相の臨床試験が既に開始されている

今回Imugene Limited社は、動物実験での成功を経て、人間を対象にした第1相の臨床試験を行うことにしました。
さまざまながん研究が行われていますが、製薬会社が実際に臨床試験に望むのはその中でも特に有望かつ採算が期待できる「一握り」に過ぎません。
逆を言えば、臨床試験に踏み切ることになった腫瘍溶解性ウイルス「CF33‐hNIS」を使ったがん治療は、かなりの有望株とみなされていることを示します。
第1相の試験では主にCF33‐hNISが体に害を与えないかどうかが調査されます。
試験に当たっては治療困難ながんを患う100人の参加者が募集され、さまざまな容量のCF33‐hNISが投与される予定です。
研究者たちはこの作業には2年ほど時間がかかると述べています。
安全性が確認された場合は、CF33‐hNISの有効性の評価が行われる第2相へと進み、最終的には第3相での大規模な試験が行われることになります。
ウイルスは人類にとって手強い敵ですが、その敵を再プログラムすることで人々の健康を脅かす、がん細胞を排除できる強力な薬にできるかもしれません。
その成果が、ちょうど世間を騒がせているサル痘の仲間のウイルスというのは、なんともタイムリーな報告です。
研究者たちは、ウイルスを使ってがん細胞を殺す方法は人類とがん細胞の戦いのルールそのものを変える「ゲームチェンジャー」になりえると述べています。
現在、がん細胞をウイルスで排除しようとする試みは急速に拡大しており、将来的には、がんの種類に応じた多くの「抗がんウイルス」が誕生するでしょう。