発泡スチロールを食べて体重が増加!
これまでにも、プラスチックを食べられるワームの存在は、何度か指摘されています。
そこで研究チームは、ラボ内で飼育している「ゾフォバス・モリオ(Zophobas morio)」の幼虫を用いて、実験を行いました。
本種の幼虫は、別名「スーパーワーム(superworm)」と呼ばれ、普段はおもに、鳥やトカゲのエサ用として大量生産されています。
同じ用途に供されるミールワームより体が倍以上大きいことが、「スーパー」の由来です。
今回の実験では、スーパーワームを3つのグループに分け、それぞれ異なる摂食条件に設定します。
1つ目には「糠(ぬか・穀物を精白した際に出る副産物)」を、2つ目には「発泡スチロール」を与え、そして3つ目は「絶食」としました。
この条件で3週間おいた結果、スーパーワームは、発泡スチロールをエサとして食べられることが判明したのです。
もちろん、糠を与えた条件で、最も体重増加が見られましたが、発泡スチロールでも、3週間を生き延びただけでなく、わずかな体重増加が確認できたのです。
これについて、研究主任のクリス・リンケ(Chris Rinke)氏は「スーパーワームが腸内細菌の助けを借りて、ポリスチレンを消化し、エネルギーを得られていることを意味する」と説明しました。
実際、メタゲノム解析(環境サンプルから回収された遺伝物質を調べる手法)を行ったところ、スーパーワームの中に、プラスチックを分解できる「酵素」がいくつかあることが判明しています。
これらの酵素は腸内細菌が作り出すものであり、その働きのおかげで、ワームはポリスチレンを消化できていたようです。
「スーパーワームは、”小さなリサイクル工場(mini recycling plants)”のようなもので、ポリスチレンを口で細かく噛み砕き、それらを腸内で消化しているのです」と、リンケ氏は話します。
チームは今後、この酵素について更なる研究を重ね、将来的には、人工的に酵素を製造して、大量のポリスチレンを分解できるようなシステムを作りたい、と考えています。
これが実現すれば、世界中のプラスチック廃棄量を大幅に減らせるかもしれません。
最後のページにて、実際にワームが発泡スチロールを食べている様子の画像及び動画を紹介します。苦手な方は閲覧に注意してください。
※ 次ページは、実際のワームの画像を含みますので、苦手な方はご注意ください。