「逆ピラミッド型レンズ」で固定したまま効率よく発電できる
ベイディア氏によると、「逆ピラミッド型レンズのシステムは虫眼鏡の集光に似ている」ようです。
太陽の下で虫眼鏡をかざすと、太陽光が集まる「焦点」で、より明るく照らすことができますね。
逆ピラミッド型レンズも同様に、レンズ表面に当たる太陽光の約90%をとらえ、約3倍の明るさにして発電システムへと届けることができるのです。
ただし、虫眼鏡と逆ピラミッド型レンズには大きな違いもあります。
それは焦点の移動です。
虫眼鏡でつくった焦点は、太陽の位置に応じて変化してしまうため、同じ場所に光を集め続けるには、虫眼鏡の角度を絶えず調整しなければいけません。
対して逆ピラミッド型レンズでは、さまざまな屈折率をもつガラスとポリマー層の組み合わせによって、光を複雑に反射させます。
これにより、どの角度から入った光でも、最終的には逆ピラミッドの奥の1点に集約されるようになっているのです。
レンズを固定しながら、効率よく光を集められるというわけですね。
またこの構造と材料により、近紫外線から赤外線まで幅広いスペクトルの光を取り込むことが可能。
現在では、デバイスにヒビが入らないよう、複数の材料を利用しても同じ速度で熱膨張するよう調整されており、いくつかの素材を用いた3Dプリントでの再現も実証済みです。
そしてこの新しい集光システムは、宇宙船用太陽電池の改良に役立つだけでなく、ディスプレイや照明など他の分野への応用が期待されています。