「グラスのような人工重力施設」や「六角形の惑星間移動システム」を考案
宇宙空間や月、火星で生活するための課題の1つに「低重力」問題の解決があります。
現在、子供の誕生や成長に対する低重力の影響は十分に研究されていません。
科学者たちは、「重力がないと哺乳類はうまく誕生できず、仮に誕生できたとしても正常には発育しない恐れがある」と考えています。
他にも重要な課題はありますが、地球の重力を宇宙で再現することは、重要な技術となるでしょう。
そこで京都大学の研究チームは、月や火星における人工重力施設の開発に取り組むことにしました。
彼らが考案した施設は、「ルナグラス」「マーズグラス」と呼ばれており、直径200m、高さ200~400mの「巨大なコップ」のような構造をしています。
この施設では、「グラス」が回転することで、遠心力(向心力)が発生。
これにより地球と同等の重力を生み出すことができるといいます。
そして人間はこの「グラスの内側」で生活します。
内部には居住エリアだけでなく、海や森林など地球を模倣した生態系も再現されるようです。
研究チームは、「居住者たちは、普段は重力のある施設内で過ごし、仕事や研究、レジャーのときだけ、月や火星の低重力を楽しめる」と述べています。
また、このように生活の中心を人工重力施設に置くことで、宇宙で生活していても、いつでも地球に帰還できる体を維持していけるでしょう。
さらに研究チームは、惑星間を移動する人工重力交通システム「ヘキサトラック」も考案しました。
人間は新幹線サイズの専用車両「スペースエクスプレス」に乗り、拠点都市間を移動できます。
そして惑星間の移動には、これらスペースエクスプレスを収納する六角形のカプセルが利用されるようです。
ちなみにチームによると、この装置を利用するなら、月-火星間の移動中も地球と同じ重力を保つことができるのだとか。
これらはガンダムなどに登場するスペースコロニーと、同じように遠心力を利用することで擬似的に重力を生み出すものとなるようです。
今後の予定について研究チームは、「具体的な人工重力施設が装置としてどのようにあるべきか、生態系をどこまで再現するべきか、人文的、法的、制度的にどのようなものが必要であるかを検討していく」と述べています。
これら発表された案がどこまで実現可能なのかは不明ですが、これから研究に着手するようなので、今後の成果に期待したいですね。