赤ちゃんに対して高い声で話しかける傾向は世界共通だった
日本では、大人が声を高くして赤ちゃんに話しかける様子をたびたび見かけます。
この傾向は、ヒルトン氏ら研究チームのいるアメリカでも同じようです。
では、他の国や地域でも、同じく声を高くして話しかけるのでしょうか?

この疑問に答えるため、研究チームは、世界中の人々を対象に、大人が赤ちゃんにどのように話しかけるのか調査しました。
この調査には、21の文化圏で生活する410人が参加。
中には、テレビ、ラジオ、インターネットにアクセスできず、他の社会の言語や音楽に触れる機会が極めて限られている小規模なコミュニティ4つが含まれています。
そして彼らに「幼児向け」および「成人向け」の音声(スピーチや語り掛け)や歌を録音してもらい、合計1615の音源を収集しました。
これらを15種類の音響特性にもとづいて解析したところ、幼児向けと成人向けの音声では、一貫して特徴が異なると判明しました。
すべての文化圏で、幼児向けの方が成人向けよりも音程が高く、母音がはっきりと発音されており、よりやわらかい音色が用いられていたのです。
歌でも同様の傾向が見られましたが、その差は小さいようでした。
しかし、それにもかかわらず、幼児向けの歌には「癒し効果がある」と報告されています。

続いてチームは、187カ国のさまざまな言語を話す5万1065人に、前述の研究で録音した音源を聞いてもらいました。
その結果、聞き手は話し手の言語に関係なく(その言語をこれまでに聞いたこともないのに)、幼児向けの音声について的確に当てることができたのです。
これらの結果について、研究チームは、次のようにまとめています。
「世界各地の言語、音楽、乳幼児の保育習慣には明らかな違いがあります。
それにもかかわらず、乳幼児に対する発声の音響特性は文化間で類似しており、相互に理解しやすいものとなっています」
私たちの赤ちゃんに対する高い声は、誰かに教えられたわけではありませんが、世界中で共通しているようです。
その理由は未だ明らかになっていませんが、研究チームは今回の結果が、動物界全体における有効的な発声方法に共通の進化メカニズムが存在するためではないかと考えています。
ここから、生物の発声が与える効果や、その進化の方法を明らかにしていけるかもしれません。