ヒナの骨盤発生プロセスには、「恐竜の骨盤に似たかたち」が見られる
ブーラー氏ら研究チームは過去10年間にわたり、恐竜や爬虫類、鳥類におけるさまざまな部位の発達や構造を調査してきました。
そして新しい研究では、ニワトリ、ウズラ、チリ―シギダチョウ(学名:Nothoprocta perdicaria)、インコなどの胚の発達を調べ、恐竜の発達段階と比較しました。
CTスキャンと顕微鏡を使って発達段階を詳しく調査し、対象の胚に見られる寛骨(かんこつ:骨盤の主体となる骨)、筋肉、神経の3D画像を作成しています。
その結果、これら鳥類の寛骨の発達過程に、恐竜の寛骨と似たかたちが見られると分かりました。
現代の鳥類の骨盤は、発達していく過程で恐竜の骨盤に似た形状になり、その後さらに変化を続け、最終的にはトリのかたちに落ち着くというのです。
ブーラー氏は、この発見と反復説を結び付けて次のように主張しています。
「鳥類の発生の初期段階が、恐竜の腰のように見えるというのは、予想外でした。
わずか2日間で、発達中の胚は恐竜のような姿から現代の鳥類のような姿へと移行しており、進化の中でどのように変化したかを反映しています」
鳥類は恐竜から分かれて進化したと考えられています。
今回の報告は、発生過程の鳥類の骨盤に恐竜の骨盤の特徴が一時的に現れるというもので、それは発生中の生物の胚に祖先の状態が保持されることが一般的なことである可能性を示唆しています。
まだ明確な証拠とはならないかもしれませんが、興味深い報告なのは確かでしょう。