過食性障害の患者を救うための研究
過食性障害(BED)は、一般的に嘔吐を伴なわない「頻繁な過食」を特徴とします。
自分で食欲をコントロールできず、猛スピードで、空腹・満腹に関係なく食べ続けてしまうのです。
BED患者は過度な肥満により身体的健康を損なうだけでなく、過食後の後悔によって精神的健康も損なってしまいます。
こうした問題を解決する1つのアプローチとして、ハルパーン氏ら研究チームは、食欲を抑制する「脳インプラント」を研究してきました。
脳に小型デバイスを埋め込み、刺激を与えることで過度な食欲を抑制しようというのです。
そして2017年の研究では、側坐核(そくざかく:前脳にある報酬・快感・嗜癖などに関係する神経細胞の集団)の活動と過食に関連性が見られました。
「側坐核における低周波の活動」が暴食の直前に活発になっていたのです。
この特徴的な活動は、通常の食欲・食事では見られないものです。
次に、マウスの側坐核を刺激したところ、通常であればむさぼるように食べる高カロリー食品の摂取量が大幅に減りました。
そこで研究チームは、この結果を踏まえて、ヒトを対象にした側坐核の刺激実験を行うことにしました。