血液型が若年性脳卒中のリスクに影響を与えていると判明!
現在の日本において脳卒中発症者は年間30万人近くに及び、発症者の半数が死亡あるいは介護が必要な状態になっているとされています。
特に60歳以前に起こる早期脳卒中は増加傾向にあり、人生において長く続く壊滅的な影響に直面する可能性があります。
しかし現在のところ、早期脳卒中がどのようにして発生するかなど、詳しい研究はほとんど行われていませんでした。
そこで今回、メリーランド大学の研究者たちは、既存の48の研究のうち、脳卒中患者1万7000人と60万人の健常者のデータを横断的に調査する大規模な研究を実施しました。
調査の対象には被験者から収集された染色体や脳卒中にかかわる遺伝子の変異などが含まれており、どんな遺伝的背景をもつ人々が早期脳卒中になりやすいかを調べることが可能になりました。
結果、意外にも、ABO型の血液型の遺伝子を含む染色体領域が早期脳卒中との間に関連性があることが判明します。
また早期脳卒中のリスクを血液型間で比較したところA型の人は他の血液型に比べて60歳以前に脳卒中になる「早期脳卒中」のリスクが16%高いことが判明。
一方でO型の人は他の血液型に比べて早期脳卒中になる可能性が12%低いことが判明します。
現在のところ、なぜA型がより高いリスクと関係しているかは不明です。
ただ研究では、A型とB型の血液型は静脈内に血栓が発生するリスクが他の血液型に比べてわずかに高いことが示されています。
また別の研究ではABO型を決めるゲノムの一部が、心臓発作や血流を制御する心臓の冠動脈の劣化(石灰化)に関連していることが知られています。
研究者たちは「血液型は血小板・血管の内側の細胞・その他の血液凝固因子などと何らかの関係がある可能性が高い」と述べています。
血液型が明確に性格や知能と関連しないことは既存の研究で指摘されていますが、血栓のできやすさなど血液に関連する問題とは、何らかのつながりがあるのでしょう。
(※若年性の脳卒中は動脈硬化によって起こる可能性は低く血栓形成に関連する要因によって引き起こされると考えられます)
ただA型だからといって、脳卒中を予防するような食事に切り替える必要はなさそうです。
研究者たちは、今回の研究で発見されたリスクは、統計上有意ではあるものの、穏やかなものであるため、A型だからといって頻繁に脳の検査を受けたり、ライフスタイルを変更するような特別な警戒は必要ないと述べています。