従来のドローンが着陸できるのは水平面だけ
ヘリコプターやマルチコプターなどの垂直離着陸機(VTOL)は、離着陸の際に空港のような滑走路を必要としません。
「なめらかな水平面」さえあれば、ビルの屋上のような狭い場所でも離着陸が可能なので、さまざまな場所にアクセスできるというメリットがあります。
そして近年注目を浴びているドローンの多くは無人の小型マルチコプターであり、同様の利点があります。
しかし、ヘリコプターの用途が「人を運ぶこと」なのに対し、ドローンの用途は、「探索・撮影・小包運搬」など多岐にわたります。
ドローンには、大型のVTOLと比べて、人が密集した場所や複雑な地形での運用が特に求められているのです。
つまりドローンにおいては、「水平面での離着陸」という条件さえ、煩わしいものとなってきました。
とはいえ、従来のドローンレッグは、水平面以外の場所で離着陸するよう設計されていません。
レッグは柔軟性がなく硬いため、斜面に着陸すると、どうしてもバランスが崩れて転倒してしまうのです。
降下速度が大きければ、レッグが地面に触れた瞬間にバウンドしたり破損したりする恐れもあるでしょう。
仮にバネのような弾力性のある素材でレッグを作ったとしても、着陸時の衝撃が強く跳ね返り、余計にバウンドしやすくなります。
またドローンの着陸時には、地面付近で巻き上がる風の影響で機体が不安定になります。
従来の水平面用のレッグで傾斜面に着陸させるなど、無謀なことだったのです。
バス氏ら研究チームは、これらの課題を解決してドローンの需要を満たすため、斜面にも着陸できる新型ドローンを開発することにしました。