人間らしいコミュニケーションには「笑いによる共感」が必要
AI技術やロボット技術の向上により、人間とロボットの共生に期待が高まっています。
映画や漫画などに登場する「まるで人間みたいなロボット」に少しずつ近づいているのです。
特に少子高齢化が進む現代社会では、会話ロボットに大きな期待がかかっています。
しかし私たちが日々のコミュニケーションで実感しているように、心温まる会話を成立させるのは簡単ではありません。
人間特有の繊細な技術が必要なのです。
例えば、スムーズで自然な会話をするには、話すこと、黙っていること、相づち、質問、表情、アイコンタクトなどを、適切な仕方で織り交ぜることが大切です。
特に話を聞く側であれば、話している相手に共感していることを振る舞いで表現する必要があるでしょう。
研究チームは、その1つである「同調笑い」に着目しました。
同調笑いとは、相手の笑いに合わせて自分も笑うことです。
私たち人間は無意識のうちに同調笑いをしており、これによって「心を通わせている」という温かさや安心感が得られているのです。
しかし同調笑いは非常に難しいスキルです。
例えば、自分が少し笑ったときに相手が爆笑すると、嬉しいと感じるよりも困惑するものです。
また自分の失敗を自嘲気味に笑ったとき、相手が同じように笑うと、馬鹿にされているようで、イライラしたりショックを受けたりします。
かといって、自分の笑いに相手が全く反応してくれないなら、「話を聞いていないのだろうか」「楽しくないのか」と不安になってしまうでしょう。
つまりロボットに人間らしさをもたせるには、相手に合わせて変化する高度な同調笑いが必要なのです。
そこで研究チームは、会話ロボットに高度な同調笑いを導入できるか取り組むことにしました。