約11日間でアラスカからタスマニアへ到達!
オオソリハシシギ(学名:Limosa lapponica)は、チドリ目シギ科に分類される鳥類の一種です。
全長は約40センチまで成長し、翼開長は約70〜80センチに達します。
普段はユーラシア大陸北部〜アラスカ西部にいたる北極圏に分布していますが、冬場になると、ヨーロッパ西部やアフリカ、アジア、オーストラリア圏にわたって越冬します。
日本にも春と秋に全国各地へ訪れるようです。
さて本研究では、今年の春にアラスカで誕生したオオソリハシシギの幼鳥たちに5G衛星タグを取り付け、今シーズンの渡りのルートや移動距離を追跡しました。
この調査は、マックス・プランク鳥類学研究所とニュージーランドのプコロコロ・ミランダ・ショアバード・センター(PMSC)の共同で数年前から行われています。
今回、ノンストップ飛行の新記録を打ち立てたのは、衛星タグ番号234684と呼ばれている生後5カ月の幼鳥でした。
この個体は10月13日にアラスカを出発し、ハワイの西側に南下するルートを取って、10月19日に太平洋の島国キリバス上空を通過。
その2日後、南太平洋のバヌアツを通過し、豪シドニーの東約620キロを抜けて、10月25日にタスマニアへと着陸しました。
総移動距離は約1万3560キロメートル、飛行時間は11日と1時間で、この間、一度の休みも取っていません。
ちなみに、これ以前の最長記録は、同じオオソリハシシギの成鳥(4BBRWと呼ばれる)が昨年に記録した約1万3000キロメートルでした。
4BBRWはその前年にも1万2000キロを踏破し、2年連続で新記録を打ち立てたレコードホルダーでしたが、それが今回、生後5カ月の若者によって破られることになりました。
Wonderful news on ultramarathon flying Bar-tailed Godwits. Satellite tracked bird has flown NONSTOP from Alaska to Tasmania for the first time! What a trip! Thanks @miranda_trust, Max Planck Institute and others for this work drawing our world together. Nature is wild! 1/2 pic.twitter.com/NnT0QtLCUx
— Andrew Darby (@looksouth) October 24, 2022
研究チームのショーン・ドゥーリー(Sean Dooley)氏は「最も驚くべきは、オオソリハシシギの幼鳥が成鳥とは別々に渡りをしていることでした」と話します。
氏によると、成鳥はときに幼鳥より6週間も早く北極圏を出発してしまうとのこと。
ところが、これは幼鳥にとって悪いニュースではなく、成鳥の出発が早ければ早いほど、餌をめぐる競争が少なくなるため、幼鳥は壮大な渡りのための燃料補給を十分に行うことができるのです。
またオオソリハシシギは、餌をたくさん食べて脂肪分を蓄えるために、他の消化器官を小さくしてその分のスペースを確保しているという。
しかし、いくら燃料を蓄えているとはいえ、まだ生まれて半年も経っていない幼鳥がこれほどの長旅をノンストップで完遂できるとは驚きです。
PMSCの広報は「前回の記録保持者である4BBRWのために記念のティータオルを準備していたのですが、今後は新しいセットを作らなければならないでしょう」と述べています。