傷を自己治癒できる光ファイバーセンサー
映画「ターミネーター」などがそうであるように、SF映画で人類の脅威として描かれるロボットの多くは「自己治癒力」を備えています。
自己メンテナンス性はロボットの運用における大きな課題の1つであり、損傷に対する自己治癒力はロボットにいずれ必要となる機能でしょう。

実際、人間や動物、その他の生物の強みは、「死なない限り、体を治癒して何度でもトライできる」ことにあります。
傷を負っても危険な状況から逃れられるなら、その失敗から学び、次回は前回の状況を大きく上回ることさえできるのです。
今回シェパード氏ら研究チームは、そのような自己治癒力や危険回避能力をもたせたソフトロボットを開発することにしました。
そのためにまず目を付けたのが、センサーに自己治癒力をもたせることです。
彼らは以前から、伸縮自在の光ファイバーセンサーを研究してきました。
この光ファイバーセンサーでは、LEDの光を伝送路に通し、フォトダイオード(光検出器として働くダイオード)がビームの強度の変化を検出。
これにより材料の変形を検知できます。
また、この技術の大きな特徴は、伝送路に穴が開いたり切り傷がついたりしても光を伝えられることにあります。

そして研究チームは、水素結合入りのポリウレタンウレアエラストマー(透明で弾力性のある素材)を、この光ファイバーセンサーと組み合わせました。
これを切断すると露出した側面が化学的に反応し、ポリマー鎖間の再編成を誘発するのだとか。
これにより完成した自己治癒型光ファイバーセンサー「SHeaLDS」は、損傷に強く、温室で切断しても外部介入なしの自己治癒が可能になりました。

ロボットの単なる「皮膚や組織の治癒」はこれまでにも見られてきましたが、今回の技術によって、重要な役割を担う信号経路も治癒できるようになったのです。
シェパード氏は、この新しい技術について次のように述べています。
「これは人間の肉と似たような性質があります。
燃焼や酸や熱による損傷では化学的性質が変化するため、うまく治りません。
しかし、切り傷・刺し傷による損傷を治癒することができます」