シマウマの縞模様にはやっぱり「アブ避け」の効果があった!
シマウマの縞模様にはやっぱり「アブ避け」の効果があった! / Credit: canva
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シマウマはなぜ縞模様なのか?仮説の1つ「アブ避け」効果を検証!

2023.02.24 Friday

シマウマの縞模様は、研究者にとって常に不可解さと好奇心の的となっています。

他のウマ科動物にはない「白黒のストライプ」が何のためにあるのか、大きな疑問となっていたのです。

しかし研究が進む中で、縞模様に「アブ避けの効果がある」ことが徐々に明らかになってきました。

一方で、アブが縞模様のどんな特徴に嫌悪感を抱いているのかはよく分かっていません。

そこで英ブリストル大学(University of Bristol)の研究チームは、馬にさまざまな種類の縞模様を施したコートを着せて、アブ避けの効果が最も強い縞模様の特徴を実験することにしました。

果たして、アブが嫌う模様にはどんな特徴があるのでしょうか?

研究の詳細は、2023年2月17日付で科学雑誌『Journal of Experimental Biology』に掲載されています。

Why zebras have stripes: it’s not the lions, it’s the insects https://www.zmescience.com/ecology/animals-ecology/why-zebras-have-stripes-its-not-the-lions-its-the-insects/ So THAT’S how the zebra got its stripes! Monochrome pattern helps to repel pesky biting horseflies, study claims https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-11772455/So-THATS-zebra-got-stripes-Monochrome-pattern-repels-horseflies-study-claims.html
Why don’t horseflies land on zebras? https://journals.biologists.com/jeb/article/226/4/jeb244778/287050/Why-don-t-horseflies-land-on-zebras

アブ避けに大事なのは「白黒コントラスト」の強さ?

シマウマの縞模様の機能については、少なくとも19世紀以来、研究者たちが様々な仮説を立てています。

最も多いのが「捕食者を混乱させる効果」で、シマウマの集団が集まると、白黒の縞模様のせいで個体の区別がつきにくくなり、天敵が標的を絞りにくくなるという説です。

他には、シマウマの体温調節に縞模様が役立っているという説や、縞模様が仲間同士を見分けるための指紋のような役割を果たしているという説もあります。

しかし近年最も注目されている仮説は、縞模様に吸血害であるアブの着陸を抑止する効果があるというものです。

アブは恐竜時代から地球上に存在し、大型動物の皮膚にとまって血を吸う厄介者となっています。

私たちなら寄ってきたアブを手で振り払うことができますが、常に4つ足を地に着けているシマウマはアブを追い払うことが困難です。

普通なら刺され放題になってもおかしくありませんが、不思議なことに、アブはなぜかシマウマの体に着陸するのを避けることがこれまでの多くの研究から示されています。

アブが馬自体を避けるという報告はないため、ここからはアブがシマウマの縞模様を嫌っている可能性が示唆されるのです。

アブはシマウマの縞模様のどこを嫌っているのか?
アブはシマウマの縞模様のどこを嫌っているのか? / Credit: canva

そこで研究チームは、アブがシマウマの縞模様のどんな特徴を嫌っているのかを理解すべく、実験を開始。

シマウマは人に従順ではなく扱いが困難であるため、実験では調教された馬を用いて、さまざまな種類の模様を施した布のコートを着せました。

今回試したのは、白黒のチェック柄・ランダムに配置されたチェック柄・白地に黒い三角形のストライプ・黒地に白い三角形のストライプ・グレーの単色・バーク柄(樹皮のような不規則な模様)の6つです。

そして、それぞれの模様に対して、アブがどれだけ近寄ってくるかを測定しました。

実験に使用した6種類の模様。見た目は間抜けだが真面目な実験。
実験に使用した6種類の模様。見た目は間抜けだが真面目な実験。 / Credit: Tim Caro et al., Journal of Experimental Biology(2023)

その結果、最も多くアブを引きつけたのは模様のないグレーの単色コートでした。

次に多かったのは白黒のコントラストが弱い模様で、バーク柄やチェック柄にもアブが集まっています。

そして最もアブ避けの効果が高かったのは白黒のコントラストが強い模様で、特に「黒地に白い三角形」が最も高い効果を発揮していました。

これは言うまでもなく、シマウマに一番近い模様です。

それに比べると、白地に黒い三角形のストライプは抑止効果が劣っているようでした。

これについて、研究主任のティム・カロ(Tim Caro)氏は「アブのいる空側に向かって暗い部分の輪郭を減らすことができる模様ほど、アブ避けの効果が高いと見られる」と指摘します。

というのも今回の実験によると、アブは大きくて暗い部分により多く集まる傾向が強いことが分かりました。

すると、背中側(アブのいる空側)に白い部分が多い「黒地に白い三角形」の模様はアブから見えにくくなっているか、着陸地点を絞りづらくさせているものと予想されます。

一方で「太陽の光を反射しやすい模様ほど、アブが多く集まる」という以前に主張されていた仮説も試してみましたが、その証拠は得られませんでした。

日光を反射しづらい模様にも普通にアブは集まってきたようです。

上:馬の毛皮、中:白地に黒い三角形、下:黒地に白い三角形
上:馬の毛皮、中:白地に黒い三角形、下:黒地に白い三角形 / Credit: Tim Caro et al., Journal of Experimental Biology(2023)

以上の結果から、シマウマの縞模様は、白黒ストライプのコントラストが強いことでアブ避けとして機能していることが支持されました。

しかしカロ氏は「まだすべての疑問を解決したわけではない」と話します。

最も大きな疑問は、シマウマの縞模様がそれほどアブ避けに有利なのであれば、なぜ他のウマ科動物は同じ模様を進化させないなのかという点です。

研究チームはシマウマの縞模様の効果にかんする研究を続けており、以前はハエに対する縞模様の効果を検証した研究も報告しています。

ハエ除け効果を持つシマウマの縞模様。実は「チェック柄」でも効果があると証明される!

カロ氏は今後こうした問題を踏まえつつ、シマウマの縞模様についてさらなる調査を進めていきたいと述べています。

とりあえず、アブの多い場所にはシマウマ柄の服を着ていくといいかもしれません。

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