・クモなどの「節足動物」の祖先と考えられる「アノマロカリス類」の新たな化石が発見される
・その化石は、これまで発見されたアノマロカリス類の化石の中で「最小」であった
・「最小」ながら「捕食者」としての体の機能は完成されていたことから、非常に小さなときから「捕食者」として活動していたことがわかる
クモ嫌いな人は、現代に生まれたことに感謝したほうが良いでしょう。クモの祖先が「生まれながらのシリアルキラー」であったことが、新たな化石の発見により明らかになりました。
中国の西北大学の研究者たちが、カンブリア紀「最強の捕食者」として知られる「アノマロカリス類(Lyrarapax unguispinus)」の化石を発見。5億年前に生息したその種は、当時における最も大きな生物のうちの一つでした。
その強烈なルックスから、みる者に嫌悪感を与えることの多いクモをはじめとした「節足動物グループ」の祖先と考えられるアノマロカリス類は、海外のホラー映画でもおなじみの存在になっています。
今回発見された化石は、アノマロカリス類の中でも “Radiodonta” とよばれる種。彼らは頭に大きなトゲだらけの「捕食用ツノ」のようなものを持っており、丸い口にはギザギザの歯がぎっしり装備されています。そしてその大きさは、なん1メートルを超えたといいます。
近年の研究により、“Radiodonta” のサイズや食生活が、考えられていたよりも多様性をもっていたことが明らかになっていましたが、その「子育て」に関しては謎に包まれていました。
しかし、今回発見された5億1800万年前の化石がその謎を解き明かしました。化石は全長18ミリで、これまで発見された “Radiodonta” の化石の中でも「最小」のサイズです。にもかかわらず、その体は驚くほどに完成されたものであり、大きく成長した後の “Radiodonta” が、そのままミニチュア化されたような化石でした。
特に、捕食用の「ツノ」やギザギザの「歯」は発達しており、このことは、“Radiodonta” が非常に幼い子どものときにはすでに「捕食者」として活動していたことを示しています。
サイズに関係なく、こんなバケモノに追われてしまえば人生終了です。そのユニークな造形と「ラスボス感」から、アノマロカリスには熱狂的なファンもいるようですが、とにかく同じ時代に生まれなかったことを幸運に思います。