構造色を利用した塗料
大きな橋やビルといった巨大な構造物から、机や食器などの小さなアイテムにも、塗料は欠かせません。
だからこそ塗料の性質の変化や改善は、世界中の人々に大きな影響を与えます。
そして近年注目されているのが、構造色を利用した塗料です。
例えば、植物の葉が緑色なのは、葉の色素が赤や青の波長を吸収し、緑の波長を反射しているためです。
一方、「構造色」とは、特定の光を吸収するような化学的な「色素」を持っているわけではありません。
光の波長よりも小さな微細構造が、光を反射・屈折・干渉させることで、発色しているように見えるのです。
自然界では、クジャクやモルフォチョウ、タマムシなどが構造色を持っています。
構造色では従来の塗料に比べて鮮やかで、環境に優しく、光学部品に用いた場合多くの応用が期待できるメリットがあります。
しかし構造色は、目的とする色を作り出すことが難しく、僅かな劣化や、傷によって色が変化してしまう可能性があり、耐久面で多くの課題を残しています。コスト的にも高くなる傾向があります。
このため構造色塗料の研究開発はさまざまなところで進められているものの、実用化は難しいとされてきました。
ところが今回、チャンダ氏ら研究チームはアルミニウムを用いた構造色塗料を開発することに成功しました。
しかもこの開発は、偶然から生じたものだったようです。