アーサーは本当に子供のために戦ったのか?
しかしこの事件に対しては「飼い主の家族を守ったというよりも、彼らの本能的な行動ではないか?」とする意見もあります。
確かにネコは生まれもってのハンターであり、安易に外に出しておくと小鳥やネズミを食べるためだけでなく、遊びの一環として際限なく獲物を狩り続けます。
しかしだからといって、アーサーの行動が遊びの一つだったとは言えません。
先行研究(Nature, 2019)では、ネコが飼い主とちゃんと心で繋がっていることが示されています。
この研究では、子ネコ70匹と大人のネコ38匹をそれぞれの飼い主から引き離し、慣れない環境で過ごしてもらった後、飼い主に再会させるという実験が行われました。
その結果、64.3%のネコが飼い主の元に走り寄って、顔を擦り付けたり撫でたりしたのです。
これは人の子供が親と再会したときと同じ行動で、ネコが飼い主に対して絆や友情を持っていることを示しています。

その証拠に、アーサーの他にもネコが飼い主を救った事例はいくつも報告があります。
たとえば2012年2月、プリン(Pudding)というネコは、飼い主の女性が寝ている間に糖尿病を原因とする意識不明の状態に陥ったとき、いち早く気づいて彼女の上に飛び乗り、目が覚めるまで体を揺すり続けました。
さらに同居していた彼女の息子を部屋まで呼びに行き、これによって母親の異変に気づいた彼が救急車を呼んで、無事に一命を取り留めたのです。
また2014年5月には、タラ(Tara)というネコが飼い主の4歳の男の子を襲っていた野良犬を撃退するというニュースが話題となりました。
こうした事例からも、ネコがちゃんと飼い主やその家族に愛情を感じていることが分かります。
皆さんの中にも、飼いネコの愛情や絆を感じた瞬間は多々あるでしょう。
やはりネコはイヌと並んで、私たち人間の最良のパートナーなのです。