多様化する「安楽死の理由」
2002年、オランダでは世界初となる安楽死の合法化が行われました。
現在、末期がんなどいくつかの病気で患者たちは、改善する見込みのない耐えがたい苦痛を感じることとなり、安楽死では死をもって苦痛からの解放が目指されます。
2002年にオランダで安楽死が合法化されたときも、議論の中心となったのは末期がん患者の痛みについてでした。
しかし何をもって「耐えがたい苦痛」とするかさまざまであり、法律では身体的な苦しみに加えて精神的な苦しみも安楽死の理由として認められています。
そのため制定から時間が経過して安楽死の普及が進むと、安楽死を求める理由の多様化が起こり始めました。
また安楽死の件数も増加しており、オランダでは2012年から2021年にかけて約6万人が安楽死によって死亡しています。
そこで今回、キングストン大学の研究者たちは規則がどのように現場で解釈・適応されているかを調べるため、情報公開されている900人以上の安楽死の事例について調べることにしました。
すると、安楽死を行っているのはほとんどが高齢者であり、がん・パーキンソン病・筋委縮性側索硬化症(ALS)など治療困難な病を抱えている人でした。
しかし調査を進めると900人のなかに、自閉症や知的障碍者が39人含まれていることが判明します。