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幼児期の「楽しい読書体験」はその後の認知力と幸福感を支える

2023.07.23 Sunday

「楽しんだもの勝ち」というのは、人生に限らず、幼児期の読書にも当てはまるようです。

最近発表された研究によれば、幼児期に「楽しみのための読書」をした子供は、思春期において認知テストで高得点を得る傾向があり、精神的な健康状態も良好であるとのことです。

研究者らは、「私たちは、読書が子どもの重要な発達要因と関連していること、将来の学習と幸福の基礎となる認知能力、精神的健康、そして脳の構造を改善するという重要な証拠を発見した」と述べています。

研究の詳細は、2023年6月28日付の『Psychological Medicine』誌に掲載されました。

Reading for pleasure early in childhood linked to better cognitive performance and mental wellbeing in adolescence — ScienceDaily https://www.sciencedaily.com/releases/2023/06/230627191516.htm
Early-initiated childhood reading for pleasure: associations with better cognitive performance, mental well-being and brain structure in young adolescence | Psychological Medicine | Cambridge Core https://www.cambridge.org/core/journals/psychological-medicine/article/earlyinitiated-childhood-reading-for-pleasure-associations-with-better-cognitive-performance-mental-wellbeing-and-brain-structure-in-young-adolescence/03FB342223A3896DB8C39F171659AE33

楽しく読むことは幼児の発達に良い影響を与える

読書は認知を豊かにする活動であり、知識習得の土台として、その後の学習を支えます。

教育分野には、読書の一形態として「楽しみのための読書(RfP: Reading for Pleasure)」があります

これは、子どもたちが自分のペースで、自分の選んだ相手と、自分のやり方で、自分のためにする読書のことです。

幼児期の学習形態の「楽しみのための読書」は、創造性を育む。
幼児期の学習形態の「楽しみのための読書」は、創造性を育む。 / Credit: Canva

「楽しみのための読書」は、遊びの一部と位置付けられ、活字や読むプロセスを練習するだけでなく、読書に関連した活動と結びつけるなど、創造的なプロセスとして発達に良い影響があると考えられています。

読書は、脳の機能や構造に影響を与えることは、すでに先行研究で示されています。しかし、「楽しみのための読書」という特定の形態を用いた早期学習体験と、その後の脳、認知、精神的健康との関係については、まだ明らかにされていません。

そこで英国と中国の研究者らは、思春期の子らを対象に、幼児期の読書経験と思春期における彼らの状況についてについて調査を行いました。

結果、幼い頃から「楽しみのための読書」を始めた子供たちは、思春期における認知テストの成績が良く、脳の体積が大きくなるなどの変化があることがわかりました。

次ページ「楽しみのための読書」は子供の脳力を上げる

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