アルツハイマー病を発症する原因とは?
アルツハイマー病の発症メカニズムはまだ完全解明されていませんが、研究者たちはその要因の一つとして、脳内でのタウタンパク質の凝集と蓄積を挙げています。
健康な人ではタウタンパク質は脳の構造を安定させるのに役立っており、まったく有害なものではありません。
ところが脳に何らかの問題が生じると、異常な量のタウタンパク質が凝集して蓄積し始め、神経細胞死を引き起こします。
そうなると、神経細胞間の正常なコミュニケーションが妨げられ、アルツハイマー病の症状である思考力の低下、記憶障害、無意識的な徘徊などが生じると考えられるのです。
実際、アルツハイマー病患者の脳を調べると、タウタンパク質が神経細胞内に異常に蓄積していることが分かっています。
そのため研究者らは、タウタンパク質の凝集や蓄積を防げば、アルツハイマー病の発症予防や症状の緩和につながるのではないかと考えているのです。
しかしこれまで、血液や髄液検査によってタウタンパク質を特定できる手段は確立されているものの、タウタンパク質の凝集と蓄積を止めたり、解消する方法は見つかっていません。
一方で近年の研究では、コーヒーに含まれるカフェインなどの成分がアルツハイマーを含む神経変性疾患に対して、有益な効果を持つ可能性が示されつつあります。
そこで研究チームは今回、コーヒー豆の成分を高濃度で抽出する「エスプレッソ」を対象に実験を行いました。