女性戦士のリーダーの先駆者か?
まずこの女戦士と共に埋葬されていた鏡の意味について考えてみましょう。
女性戦士が生きた当時のイギリス社会において、鏡は複数の用途と重要な意味合いを持っていました。
例えば、戦地であれば、鏡面に太陽の光を反射させて遠方にいる仲間の戦士に攻撃の合図を送るコミュニケーションの一つとして使われます。
また研究者によると、鏡面の光反射には儀式的な意味もあり、襲撃の成功を占ったり、あるいは戦闘に参加する戦士を無事に帰還させるために、超自然界との交信に使用された可能性もあるという。
いずれにせよ、鏡を持つ者の仕事は非常に重大であり、研究主任のサラ・スターク(Sarah Stark)氏は「シリー諸島の戦地で、この女性戦士がリーダー的な役割を果たしたとも解釈できる」と指摘しました。
スターク氏は続けて、次のように見解を述べます。
「剣と鏡の組み合わせは、この女性がコミュニティ内で高い地位にいたことを示唆しており、敵陣への襲撃を組織したり主導していたのかもしれません。
彼女はイギリスでの女性戦士の地位を高め、後にブーディカのような女性指導者が現れる基礎を築いた可能性も考えられます」
ブーディカとは、生年不詳〜紀元60年頃に実在したケルト人イケニ族の女王で、現在のイギリス東部ノーフォーク地域を治めていました。
夫プラスタグス王の死に乗じて王国を奪ったローマ帝国に対し、イケニ族や近隣の部族をまとめ上げて戦った反乱軍の女性リーダーです。
彼女は各地のローマ帝国の植民地を次々に攻略し、当時のローマ皇帝ネロに軍の撤退を決断させるまで追い込みましたが、最終的には戦死しています。
ブーディカは後世の芸術やフィクション作品に多大な影響を与え、日本ではRPGゲーム『Fate/Grand Order』に登場することで有名です。
もしかしたら今回の女性戦士は、ブーディカのような女性リーダーの先駆けとなる存在だったのかもしれません。