自分で選んだ恐怖体験は気分を改善し、脳の活動を落ち着かせる
実験の結果、お化け屋敷の体験後には、お化け屋敷に入る前に感じていた不安や疲労、苛立ち、ストレスが緩和され、多幸感を感じており、気分が改善したことが確認されました。
この結果は、恐怖体験の前には強いストレスを感じ、苛立ちや疲労を感じることで気分が落ち込み、体験後に予期していた恐怖から解放されることで、満足感や幸福感を感じていたことを意味します。
またEEGによる脳波の測定では、脳のさまざまな領域で神経活動が低下したことが確認されました。
そしてランダムで驚愕音が鳴るような中、注意を維持しなければならない状況においても、脳活動の低下が見られ、ストレスや驚異的な状況に対処する能力が向上したことが分かりました。
そしてほとんどの実験参加者がお化け屋敷を楽しかったと感じており(95%)、また機会があったらもう一度お化け屋敷に行きたい(88%)と回答しました。
今回の実験参加者は自分自身の意思でお化け屋敷のチケットを購入していることから、強い恐怖や驚きを体験したことを楽しんでいたことが分かります。
これらの結果は、自分の自らの意思で選んだ恐怖体験である自発的ネガティブ体験は、気分の改善と多幸感、ストレス環境時の脳活動の低下を引き起こし、精神的な状態を緩和することを意味しています。
この恐怖体験前の疲労や倦怠を感じることは、次に体験する恐怖やストレスにうまく適応する準備をしているのではないかと考えられています。