古代文明で「未知なるもの」はどう表現された?
未知なるもの「X」の起源を知るには、数学の歴史を追うのが一番です。
私たちが学生時代に習った代数学(未知数を文字に置き換えて方程式を解く学問)では、xを未知なる数字として使うルールがあります。
このルールがどう始まったのかが分かれば、「X=未知なるもの」となった謎が明らかになるかもしれません。
専門家によると、多くの古代文明ではすでに秀才たちによって代数学が発明されていました。
しかし、まだ未知数を「x」と表記する習慣はありません。
例えば、古代エジプトでは、代数の未知なる量を示すために「aha」 と呼ばれる文字(ヒエログリフ)が使われていたそうです。
ahaには「質量」や「固まり」といった意味があり、具体的には「ahaにahaの1/7を加えた値が19であるときのahaの値はなにか?」のように使ったという。
この頃は他の文明でも未知数を短い単語で表すことが多かったですが、次第に省略記号を使う習慣が現れてきます。
3世紀の数学者アレクサンドリアのディオファントスは、未知の数を「arithmos」 と呼び、実際の数式の中では「s」に似た古代ギリシア文字を使いました。
それからインドの大数学者ブラフマグプタ(598〜665年頃)は、未知数に色の名前を振って、その最初の音節を数式に用いています。
例えば、kâlaka(黒) からkâ、yavat tava(黄色)からya、nilaka(青)からniなどです。
つまり、未知数を何らかの記号で表す習慣は古代からあったわけですが、それではこれが「x」になったのはいつ頃だったのでしょう?