実験に使った「モーツァルトの子守唄」はモーツァルトの作曲じゃない?
「赤ちゃんの脳は痛みを感じるほど発達していない」と主張されることがありますが、近年の研究で、生まれたばかりの赤ちゃんも大人と同じように痛みを感じることが分かっています。
また赤ちゃんの頃に受けた痛みの経験は、後々の痛みの感じ方に影響を与える可能性があるという。
例えば、生まれたばかりに強い痛みを感じると、それが心身のトラウマとなって、痛みへの反応が過剰になるかもしれません。
「したがって、新生児の痛みを軽減するための簡単かつ信頼できる方法を確立することは極めて重要である」と研究主任のサミナサン・アンバラガン(Saminathan Anbalagan)氏は話します。
そこで研究チームは、胎教や寝かしつけに使われる「音楽」を用いることにしました。
特に今回の実験に選んだのは、赤ちゃんのリラックス用によく使用される「モーツァルトの子守唄」です。
こちらがその曲。
ただこの曲を調べてみると、実際にはモーツァルトの作曲ではないことが判明しています。
原題は「Wiegenlied (Lullaby) , K. 350」と表記され、確かに長い間モーツァルト(1756〜1791)の作曲だと考えられていました。
ところが近年の研究で、本当の作曲者はフリードリッヒ・フライシュマン(1766〜1798)というドイツの作曲家であることが明らかになったそう。
それでも、その美しい音色はモーツァルトが作曲した数々の音楽とよく似ていると評されています。
少し余談になりましたが、とりあえず今回使われた「モーツァルトの子守唄」はモーツァルトの作曲ではないことだけ念頭に置いておきましょう。
さて話を戻して、研究チームは新生児の採血時に「モーツァルトの子守唄」がどれだけ痛みを和らげるかを検証しました。