なぜ人類は一緒に歌い続けるのか?
一部の専門家によると、人類は言語を使って会話する以前から歌うことができたと言われています。
初期の人類は自然の音や野生動物の鳴き声を真似してリズムを作り、それに合わせて大声を出すことで、捕食者への威嚇や防護策として使ったというのです。
しかし最も重要な役割は、一緒に歌うことが仲間とのコミュニケーションや結束力を高めたことでした。
英オックスフォード大学のジェレミー・モンタギュ(Jeremy Montagu)氏は次のように話します。
「音楽は親子や仲間の絆を深めるのに大いに役立ちます。
反復的で退屈な仕事をしているときには合唱によって労働者の士気を高めたり、また狩りや戦の前に一緒に歌ったり踊ったりすることで結束力を強めました。
音楽は人々をグループとしてまとめることで、人類社会そのものを作り出すことに役立ったと考えられるのです」
カラオケや飲み会など、仲間と一緒に声を合わせて歌う機会はたくさんありますし、誕生日や結婚式、スポーツの試合前など、大切な場面でも私たちは必ず歌を歌います。
こうした仲間と一緒に歌おうとする脳の仕組みは、私たち自身の絆を深めるために進化し、そして今なお続いているのでしょう。