息を吸う瞬間は集中力・注意力に関与する脳活動が低下し、記憶パフォーマンスが悪くなる
呼吸は生命維持に欠かせない活動です。
私たちは日常的には意識せずとも呼吸していますが、深呼吸など意識的に呼吸をコントロールすることもできます。
睡眠時などの無意識の呼吸が脳活動に与える影響に関しては多くの研究が行われてきました。しかし認知課題遂行中などの覚醒下での意識した呼吸リズムやパターンが脳活動をどう変えるかは研究が不足しています。
これまで中村氏らは課題遂行中の意識的な呼吸と脳の状態の関係性を検討してきました。
それらの研究では、記憶課題に取り組んでいるときに、息を吸うタイミング(EI)が重なると、集中力・注意力を司る脳領域の活動が低下し、記憶した情報の阻害を引き起こすことを報告しています。
この結果を受け、息を吸う瞬間が脳の情報処理をリセットさせ、記憶などの処理を阻害する可能性があると考えられていました。
しかしこれまでの実験では、呼吸のパターンを実験的に操作できず、呼吸パターンと脳活動の因果関係を推定することが困難でした。
そこで今回中村氏ら研究チームは、マウスの神経を機械的に操作して、呼吸パターンと記憶形成の関係を調査することにしました。