尿意を我慢することによる抑制波及効果は嘘以外でも生じる
おしっこを我慢することによる抑制波及効果は、嘘をつく以外の場面でも効果を発揮します。
学術誌「Psychological Sciece」に投稿された蘭トゥウェンテ大学のミルジャム・トゥク氏(Mirjam Tuk)らは、おしっこを我慢すると、無関係の課題遂行時の自制心が向上する現象を報告しています。
具体的には、尿意を我慢すると、目の前の利益よりも将来の利益を優先し、金銭的にリスクのある選択肢や高カロリーな食べ物を避けることができます。
この結果は、おしっこを我慢することで生じる抑制波及効果が、さまざまな領域で利用できる可能性を示唆しています。
しかし我慢が続いている状況で、目の前に自分の衝動を駆り立てる刺激が現れると、自制心の発揮が難しくなる可能性もあるはずです。
この現象は「自我消耗」と言われ、自制心は有限の資源であり、使うと減ってしまう考えに基づいています。
例として、テスト勉強を頑張った後に、いつもなら我慢できるお菓子を買ってたくさん食べてしまうケースなどが挙げられます。
研究チームはこの疑問に対して「おしっこを我慢するための行動的制御は、自動かつ無意識のプロセスで行われるため、自我消耗が生じないのではないか」と述べています。
今後、面接、ダイエット中や給料日直後の買い物など、自制心を発揮する必要がある時には、水をたくさん飲むのがいいのかもしれません。
あまりにも尿意が強い場合には、脳の抑制機能のリソースが尿意の我慢にすべて割かれ、逆効果になる恐れもあるのでご注意を。