絶滅種タスマニアタイガーのRNA抽出に成功!DNAとRNAの違いとは?
遺伝学的にいうと、両方ともリン酸物質であるヌクレオチドが連なってできた高分子の「核酸」です。
正式名称は、DNAがデオキシリボ核酸で、RNAがリボ核酸といいます。
核酸は生命活動に欠かせない物質ですが、DNAとRNAでは役割がはっきり違います。
一言でいうと、DNAとはその内部で遺伝情報を蓄積・保存するもので、RNAとはそのDNA情報を使ってタンパク質を合成するものです。
例えば、ヒトの体は約20%がタンパク質でできており、それらは筋肉や皮膚、毛髪、爪などを作る材料となります。
つまり、設計図であるDNA情報をもとに生体を作るのがRNAの役割であり、RNAがなければ私たちの体は維持できないのです。
そして研究チームは今回、スウェーデンの自然歴史博物館(SMNH)に室温保存されていた約130年前のタスマニアタイガー標本から、ついにRNAを抽出することに成功しました。
加えて、抽出したRNAの配列を解読し、皮膚および骨格筋のトランスクリプトーム(※)を史上初めて再構築することにも成功しています。
(※ 細胞中にある全DNAを「ゲノム」と呼ぶのに対し、細胞中にある全RNAを「トランスクリプトーム」と呼ぶ)
タスマニアタイガーのRNAを解読することは、彼らが生きていたときの遺伝子機能や生態を理解し、個体復活のための設計図であるゲノムをより正確に構築する上でも重要です。
実際、抽出したRNA配列から、タスマニアタイガーのDNAの隙間のいくつかを埋めることにも成功しています。
RNAはDNAから転写されるので、RNA配列が解読できれば、DNA配列も推定できるという。
本研究の成果は非常に画期的であり、絶滅したタスマニアタイガーの復活を大きく前進させるものと期待されています。
チームは今後、他のタスマニアタイガーの標本を調査し、DNAとRNAのさらなる解読を進めていく予定です。
タスマニアタイガーが再び地上を歩く日は、そう遠くないかもしれません。