緯度の低い地域でも確認されたオーロラ
通常、オーロラは北半球、南半球ともに緯度60度から70度あたりでよく見られます。
このオーロラがよく見られる範囲は「オーロラベルト」と呼ばれ、オーロラの鑑賞ツアーでは、この範囲に行くのが鉄則となっています。
代表的な場所としては「イエローナイフ(カナダ)」「フェアバンクス(アラスカ)」「トロムソ(ノルウェー)」「キルナ(スウェーデン)」などが挙げられます。
北緯66度33分以北が北極圏なので、オーロラはとても寒い地域で見られることがほとんどです。
しかし、今回の赤いオーロラはフランスやアメリカ中部など、比較的緯度の低い地域で確認されました。
どうやら、緯度の低い地域で確認されたことが赤いオーロラと関係あるようです。
下記は、北緯57度のスコットランドのロジーマスで9月25日に撮影されたオーロラ。
A few shots from last nights awesome aurora display from lossiemouth 🏴 she lit up the moray firth sky with red to the naked eye!! 👁🤯 #Aurora @TamithaSkov @AmazingAurora21 @BBCWthrWatchers @aurorawatchuk @_SpaceWeather_ @AuroraAlertsApp @SkyeAuroras @astro_apps_uk @TweetAurora pic.twitter.com/ZumbEdL6a3
— stevo howells (@Stevo_SnakeDR) September 25, 2023
オーロラが赤く染まる理由
オーロラは、主に太陽から放出されたプラズマ(電子とイオンの混合物)が地球の磁場によって両極の方向に導かれ、大気中のガス分子や原子と衝突することによって発生します。
オーロラの色は、これらの衝突がどのようなガス分子や原子と起こり、そしてどの高さで起こるかによって異なってくるのです。
最も一般的な緑色のオーロラは、太陽からのプラズマが高度100kmから200km程度の高さで大気中の酸素分子と衝突した際に発生します。
一方、赤いオーロラもプラズマが酸素分子と衝突して発生するのは同じですが、高度200km以上で発生します。
つまり、今回緯度の低い地域で観測された赤いオーロラは、かなり高高度で発生したオーロラということになります。
しかし、なぜ高高度でオーロラが発生したのでしょうか。
高高度でオーロラが発生したのには、太陽嵐の強さが関係しています。
太陽で太陽フレアと呼ばれる爆発が発生すると、電磁波・プラズマなどを含む太陽風が放出されます。
中でも、非常に大規模な太陽フレアが発生した場合には、電子機器などにも被害をもたらすほど高エネルギーの太陽風が放出されます。この現象を太陽嵐と呼びます。
大規模な太陽嵐によって高エネルギーの太陽風が大量に地球に降り注いだ場合、非常に酸素原子の密度が薄い高高度でも酸素とプラズマの衝突が発生します。
そのため、高高度が低高度に渡って広くオーロラが発生したのです。
なので、ニュースなどでは赤色だけが強調されてはいますが、実際撮影された写真を見ると、オーロラは赤から緑色のグラデーションを作っていることがわかります。
また低緯度でもオーロラが見えた理由についても、太陽嵐が強力だったため極点から広い範囲にまでオーロラが広がったからだと理解することができます。