脳は睡眠中に「問題を解決」できる
起きているときはどうしても自分がいいと思う考えに固執してしまい、さらに不安などの負の感情によって考える効率が下がってしまいます。
しかし、睡眠中は合理性を司る前頭前野が機能していません。
普段自分が考える合理性の範囲を超えて、脳が自由に考えの関連付けを行っています。
この脳のはたらきが、起きているときには思いつけない解決策につながることもあるのです。
また、睡眠中には不安を司るノルアドレナリンが遮断されています。
不安な感情に振り回されなければ、脳はリソースのすべてを割いて、効率的に問題を解決することができます。
運動能力は長い睡眠で磨かれる
睡眠時の問題解決能力はスポーツにおいても発揮され、アメリカ、ハーバード大学の研究では運動後の睡眠がパフォーマンスの向上を大幅に高めることがわかっています。
この研究はNeuronの35巻に2002年7月3日付けで掲載されました。
同研究グループでは指に番号をつけ、指示された通りにタッピングできるか評価する試験を行い、睡眠を挟んだ場合とずっと覚醒していた場合でスコアを比較しました。
その結果、睡眠を挟んだ場合には覚醒していた場合に比べスコアが20%程度向上していたのです。
睡眠時には脳が「できた」ときのイメージを反芻して、記憶として定着させてくれるため、スポーツのパフォーマンスを高めることができます。
また、同研究ではこのように記憶が定着する期間についても調査され、記憶が定着するのはレム睡眠とノンレム睡眠の反復に置ける4周期めであることもわかりました。
つまり、記憶を定着させるには単に眠ればいいというわけでなく、ある程度長い睡眠時間が必要ということです。
悩んだときは寝る方が有益かも
睡眠には覚えたことを反芻し、記憶として定着させる力があります。
記憶できるものは多岐に及び、単語学習のようなシンプルなものから、2桁の掛け算のような複雑なもの、運動パフォーマンスのような言語化できないものまでさまざまです。
さらに睡眠中は問題解決につながる様々な事象が脳内で起こっています。
もしあなたが今何か悩み事や問題を抱えて解決策が思いつかないのなら、考え続けるよりさっさと寝る方がいいかもしれませんね。