初期の恐竜卵は柔らかすぎず、硬すぎない?
今回の化石に関する最も重大な発見は、小さな卵の方にありました。
チームが卵の化石を薄く切り取って電子顕微鏡で調べたところ、卵の石灰質層は軟殻卵よりもはるかに厚いが、硬殻卵よりは薄いことが明らかになっています。
つまり、守護黔竜の卵は、現代のヘビやトカゲが産むようなソフトシェルの卵よりは硬いが、鳥やワニが産むようなハードシェルの卵よりは柔らかかったのです。
研究者らはこの中間的な卵の在り方について「革のような質感に近いものだった」と表現しています。
恐竜の卵はどのように変化した?
さらにチームは、約2億3000万年前の三畳紀に誕生した恐竜の卵が、種や時代ごとにどう変化したかを調べました。
ここでは恐竜の祖先となる爬虫類から派生した210種の絶滅種および現生種の卵データ(恐竜や鳥類を含む)を集めて、総合的に分析し、これを元に卵の変遷を再構築。
その結果、卵の殻は最初期の恐竜において厚みが減少しており、その後、獣脚類(※)の誕生から有意に増加に転じていることが特定されました。
(※ 獣脚類は、ヴェロキラプトルやティラノサウルスを代表とする肉食恐竜の一群)
このことから、最初期の恐竜の卵はやはり革のような弾力のある質感からスタートし、徐々にハードタイプへと進化させていったことが予想されました。
またその中で、ヘビやトカゲなどの一部の爬虫類に見られるソフトタイプの卵も現れたようです。
一方で、卵の形については進化のタイムラインを通し、一貫して「楕円形」が共通していました。
ただ獣脚類において、卵が縦に伸びた細長い楕円形に進化することはあったようです。
研究チームはこの分析結果を要約して、「最初期の恐竜の卵はおそらく革のような質感で、比較的小さく、楕円形である点で共通していた可能性が高い」と結論しました。
となると当初の恐竜たちは、卵からパリパリッとではなく、グニグニッと革を破るように生まれていたのかもしれません。