記録にのみ登場する「プント」は一体どこにある?

プント(Punt)にまつわる最古の記録の一つは、エジプト第5王朝(紀元前2498〜紀元前2345年頃)で作られたとされる「パレルモ石」に残されています。
それによると、紀元前2450年頃のサフレ王の治世に、大量の乳香やエレクトラム(金銀合金)、マラカイト(孔雀石)や没薬(もつやく※)を輸入するためにプントまで遠征していたことが記されていました。
(※ 没薬は熱帯産の低木コミフォラから取れるゴム樹脂で、黄黒色で臭気が強く、ミイラ製造の防腐剤などに重宝された)

プントの最も詳細な記録は、エジプト第18王朝のファラオ・ハトシェプスト女王に捧げられた石碑の中で見つかっています。
ハトシェプストの一団は紀元前1493年頃にプント遠征を行い、高床式の蜂の巣のような家が立ち並ぶ村、あらゆる種類のエキゾチックな動植物など、プントの情景に関する貴重な記述を残しました。
そしてこのプント原産の動物の中に「ヒヒ」がいたことも記されていたのです。
この頃にはすでに古代エジプト人がプントからヒヒを輸入していたことが伺えます。

その後、ラムセス2世(紀元前1303〜紀元前1213年)の治世にもプント遠征が行われていました。
現存するパピルスには貨物を積んだ船で紅海を渡ったことが記されており、これがプントに関して見つかっている最後の記録となっています。
しかし1000年以上にわたって交易が続いていたにも関わらず、いずれの記録にもプントが正確にどこに位置するかは記されていませんでした。
(あるいはプントの位置を記した地図はまだ見つかっていないか、すでに失われてしまったのかもしれない)
ヒントは紅海を下っていることですが、それでもアフリカ東北側のスーダン・エチオピア・ソマリアから、アラビア半島側のサウジアラビア・イエメンなど、該当する場所はたくさんあります。

果たして、プントは一体どこにあるのか?
研究チームは、その答えをプントから輸入したであろうヒヒのミイラから探ることにしました。





























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