ラッキーアイテムは本当に効果があるのか
皆さんはラッキー・アイテムやお守り、ジンクスなどの迷信は信じますか。
昔もらったぬいぐるみを幸運のお守りとして持っていたり、過去の成功体験から試験前に同じものを食べたり。
おそらく多くの人が何かをきっかけにこれらの行動を取っていると思います。
しかし多くの人はこれらが望む結果との間には因果関係が存在しない不合理な行動だということはどこかで理解しているのではないでしょうか。
冷静に考えてみれば、ラッキーアイテムやジンクスは何の意味も成さないと思うことは間違いではなさそうです。
ところが、近年の研究によると迷信は実際にパフォーマンスに影響を与えることが報告されました。
独ケルン大学のライサン・ダーミッシュ氏(Lysann Damisch)らの研究チームは、迷信が本当にパフォーマンスを高めるかを検討しています。
実験には大学生28名が参加しました。
参加者は以下の2つのグループに分け、1 mのゴルフ・パットを10回挑戦しています。
実験群:実験者から「これは幸運のボールです」とボールを渡される
統制群:実験者から「これは普通のボールです」とボールを渡される
そして実験者から渡されたボールの違いでパットの成功率に差があるのかを比較しました。
実験の結果、「普通のボールです」と実験者からボールを渡された人と比べて、「幸運のボールです」と実験者からボールを渡された人はパットの成功率が約17%高くなりました。
また参加者の約80%が迷信の存在を信じていたことも確認されています。
この結果は、多くの人が不条理と感じながらも迷信を信じ込んでいる場合が多いということ、そして実際に「幸運」に関連する迷信がパフォーマンスを高める可能性を示唆しています。
次に研究チームは、課題に取り組む前の迷信的な行動を取ることで、パフォーマンスが高まるかも検討しました。
彼らは大学生51名に親指を他の4本の指で包むように握ってもらい、この行動に対して、以下の3つのグループに分けそれぞれ別の意味を教えました。
実験群:親指を巻き込んで握る動作は「悪運を払う」という意味があると伝える
統制群1:「時間的に余裕がある」という意味があると伝える
統制群2:「すぐに始めよう」という意味があると伝える
このように親指を巻き込んで握る動作が「幸運」に関連することを知る人と、「幸運」とは関連がなく、ただのジャスチャーであることを知る人で同じ動作に対する意味づけに違いを設けています。
そして36の穴の中に決められたボールを1つずつ詰める課題をできるだけ早くこなしてもらいました。