甘いものを爆食いしても糖尿病にならないコウモリ
糖尿病はインスリンが十分に機能しなくなったことで、血糖(血液中を流れるブドウ糖)が増えてしまう病気です。
インスリンは膵臓から分泌されるホルモンであり、細胞内に糖を取り入れることで、血液中に糖を溢れさせることなく、血糖値を正常に安定させる働きをします。
しかしインスリンが機能しなくなって、血糖値をコントロールできなくなった状態が糖尿病です。
主な症状には「喉が渇く」「尿の回数が増える」「疲れやすくなる」などがあり、さらに何年間も放置されると血管が傷ついて、心臓病や腎臓病、失明といった重い病気を発症するリスクが高まります。
特に現代人は運動不足や食生活の変化から糖尿病にかかりやすく、日本ではすでに5〜6人に1人が糖尿病に罹患しています。
そんな私たちと対照的に、どれだけ甘いものを食べても糖尿病を発症しないのが「オオコウモリ」です。
熱帯の密林に暮らすオオコウモリは毎日20時間も寝た後に、4時間だけ起きて糖質の高い果実や花蜜をたらふく食べ、また寝ぐらに戻る生活をしています。
1日に自分の体重の2倍量の果物を食べているのですが、糖尿病を発症する個体はいません。
甘党の方からすれば実にうらやましい話ですが、生物学者にとっては「どうして血糖値が上昇しないのか」が不思議でした。
そこで研究チームはこの謎を解き明かすべく、果実食のジャマイカオオコウモリ(学名:Artibeus jamaicensis)と昆虫食のオオクビワコウモリ(学名:Eptesicus fuscus)の遺伝子システムを比較調査しました。