ヘルクラネウムの巻物の内容とは!?「哲学論文」それとも「2000年前のブログ記事」?
解読された「ヘルクラネウムの巻物」は、エピクロス主義に関連したものであり、その著者は、エピクロスの信奉者であり、巻物が発見された書庫で働いていた哲学者フィロデモスだと考えられています。
エピクロス主義とは、ギリシャ哲学者エピクロスに影響を受けた学派であり、幸福の追求を自分の主義(快楽主義)としていました。
心の平安や精神的な快楽を追求し、当時の禁欲的な考えと対立していたようです。
そして実際に解読された巻物では、「食料などの品物の入手可能性が、喜びにどのような影響を与えるのか」といったトピックが扱われています。
例えば、著者は「大量に手に入る物よりも、少量しか手に入らない物の方が、喜びは大きいのか?」などと論じています。
また、音楽が聴く人に与える影響についても書かれており、そのことを食べ物や飲み物が提供する楽しみと比較しているようです。
もちろん、これらは巻物に記された内容のたった5%に過ぎないため、これだけで巻物全体の価値を測ることはできません。
ヴェスヴィオ・チャレンジの次の目標は、2024年の年末までに巻物の85%を解読することであり、今後の進展も楽しみにできます。
ちなみに、ヴェスヴィオ・チャレンジのサイトでは、今回の結果について、次のようにコメントされています。
「学者たちは、これを哲学論文と呼ぶかもしれません。
しかし、この文章は私たちにとってなじみのあるものです。
私たちが最初に発見した文章は、人生を楽しむ方法について記した2000年前のブログ記事であるような気がしてなりません」
「長年秘められてきた古代文書が、実は2000年前のブログ記事のような内容だった」という表現は、現代のあらゆるメディアが将来どのように扱われるかを想像させます。
現代には、様々な「記録」が存在していますね。
ネットにあふれる様々なブログ記事や、私たちの手帳に記された手書きの日記、SNSに投降した動画やハードディスクに収まった写真などです。
それは現代ではありふれたものの一部ですが、はるか遠い未来にまで残ったなら、きっとヘルクラネウムの巻物のように当時の様子を知るための貴重な資料として大切に扱われるのでしょう。
現代のブログ記事もまた、将来において、「どこかなじみ深い」古代文書となるかもしれません。