体温とうつ病は関連していると判明。新たな治療法が見つかるかも
これまで多くの医者や科学者により、うつ病の研究が行われてきました。
その中には、体温とうつ病の関連性を示すいくつかの研究があります。
しかし、それらはどれも、300人未満の参加者を対象とした小規模な研究でした。
そこで今回、メイソン氏ら研究チームは、サンプル数を拡大して、体温とうつ病の関連性を明らかにしました。
彼らは、7カ月にわたって106か国から2万人以上の個人データを収集し、分析したのです。
チームはその中で、2種類のデータを集めました。
1つは2万863人(男性53%、女性47%)から集めた自己申告に基づく体温データです。
そしてもう1つは、2万1064人(男性56%、女性44%)が装着したウェアラブルセンサーによる体温データです。
各参加者たちが複数回体温を測った結果、体温評価のデータ数の合計は55万9664件にも上りました。
そしてチームは、患者が自身の健康状態を報告するツール「PROMIS(Reported Outcomes Measurement Information System)」を使用して、参加者たちのうつ病のレベル(正常~重度)データを収集し、関連性を分析しました。
メイソン氏は、「この研究は、私の知る限り、体温とうつ病の関連性を調査した過去最大の研究です」と述べています。
そして分析の結果、うつ病の重症度が増すごとに、参加者の体温が上昇すると判明しました。
上記の2つグラフ(A:自己申告、B:ウェアラブルセンサー)では、一定期間における平均体温の推移が示されています。
そしてうつ病スコアはグラフの色で分けられており、それぞれ緑(正常値)、黄(軽度)、オレンジ(中度)、赤(重度)を示しています。
重度のうつ病患者の体温が高く、正常な人の体温が低いことがはっきりと分かりますね。
このグラフからも明らかなように、うつ病と体温の高さには関連があるのです。
ただし今回の研究では、うつ病が体温を上昇させるのか、もしくは体温の上昇がうつ病を引き起こすのかは分かっていません。
これらの点は今後の研究で明らかにしていく必要があるでしょう。
それでも研究チームは、「『うつ病患者は体温が高い』という結果が、新たなうつ病治療法を生み出すかもしれない」と述べています。
つまり、「体温を下げる」というシンプルな方法が、うつ病に効果的かもしれないのです。
実際、既存の小さな研究では、温水浴槽(リラクゼーションや治療に用いられる温水の浴槽)やサウナによって、うつ病が軽減されることが示唆されているようです。
入浴やサウナは一時的に体温を上げますが、発汗などで体の自己冷却が引き起こされ、氷水を被るよりも長期的に体温を下げる効果があります。
メイソン氏も、「うつ病患者の体温を追跡しながら、適切なタイミングで温熱治療を行うなら、どうなるでしょうか」と、新しい治療法の可能性に期待を寄せています。
そしてもしかすると、体温を下げる他の方法も、うつ病対策に役立つかもしれません。
例えば、「辛い物を食べる」「きゅうり、トマト、バナナなど、カリウムや水分を含むものを食べる」「特定のツボを押す」ことは、夏場に体温を下げる方法として有名ですね。
もちろん現段階では、「サウナでうつ病が治る」などと考えたり、必死に体を冷やそうとしたりすべきではありませんが、この分野の進展には期待したいところです。
最後にメイソン氏も次のようにコメントしました。
「アメリカにおけるうつ病の発症率の上昇を考えると、私たちは新たな治療法の可能性に興奮しています」
誰もが簡単に実践できる「うつ病対策」が明らかになってほしいものです。
知的障がいを持つ人の中に、気分が落ち込んでいると何故か体温が高くなってるって、人がいる。人間って生き物は生まれに関係なく、今回の研究が示すようにうつ症状と身体反応を示すように、プログラムされているんだろうねー。