心不全のリスクと食環境の関連性
「心血管疾患」とは、心臓に繋がる血管や心筋に異常が生じる病気です。
心血管疾患は日本人の死因の第2位でもあり、心血管疾患に含まれる心筋梗塞や狭心症は、喫煙や食事などの生活習慣が要因となることで知られています。
テュレーン大学疫学部のルー・チー氏も、「ファーストフード店などは、通常、健康に良くない食べ物や飲み物を提供しており、心血管疾患と関連している」と述べています。
今回のルー・チー氏らは、そんな「健康に良くない食事を提供する店」ファーストフード店などが自宅の近くにあることと、「心不全」リスクに関連性があるかどうかを調査しました。
「心不全」とは、心臓のポンプ機能が悪くなり、正常に働かなくなった状態(病名ではない)のことです。
心血管疾患には様々な病気が含まれますが、それらの病気の結果、心不全になることがあります。
そして人が心不全になると、十分な量の血液を全身に送れなくなり、呼吸困難やむくみ、動悸、疲労感など、様々な症状が引き起こされます。
この心不全を引き起こす要因は様々ですが、大元をたどると、高血圧や糖尿病、過度のアルコール摂取などの食習慣が大きく関係していると言われています。
このことから、心不全のリスクには「ファーストフード店へのアクセスのしやすさ」が影響すると予想されるのです。
しかしルー・チー氏らによると、これまで「心不全」をピックアップして、食環境との関係を調べた研究はほとんどないようです。
また彼は、「栄養と健康の関係に関する従来の研究のほとんどは、食事の内容に焦点が当てられており、食環境の影響は無視されてきました」とも述べており、今回の研究で、食環境の重要性を明らかにしたいと考えました。