猫の目は、世界中の動物の中でも「特別」です。
明暗によって瞳孔を「大きな丸」にしたり、垂直に細長くしたりできます。そのような猫特有の目の動きから、日本語では「猫の目のよう」という慣用句もありますね。
ではなぜ特別な目が猫に備わったのでしょうか。それは猫の習性や身体の大きさが影響していると考えられています。
ではまず、瞳の大きさについて見てみましょう。
生活時間が瞳の大きさを決める
私たち人間の瞳は暗い場所に移ると、多くの光を吸収しようとして瞳が大きくなります。逆に明るい場所に移ると、光を調節しようとして瞳は小さくなります。猫の場合も同じような動きをしますが、彼らのほうが器用に瞳を扱います。
これまでの研究から、猫は瞳孔括約筋と呼ばれる筋肉を使うことで、瞳を細めることが知られています。瞳孔を細めることでより多くの光量を調節できる仕組みです。
猫は瞳の面積を拡張時と収縮時で135~300倍変化することができますが、人の場合は15倍ほどしか変化できません。猫の目が非常に発達していることが分かります。
カリフォルニア大学が行った研究が214種類の大陸動物の瞳を調査した結果、動物が日中に行動する時間が瞳孔の形状を決めていることが分かりました。つまり、瞳の大きさや形は、その動物が昼間に浴びる光で決定していたのです。
猫は夜行性でも昼行性でもなく、薄明薄暮性といわれています。これは、明け方や夕方などの時間帯に行動する動物の習性ことを指し、つまり日中の光を浴びることも、夜の暗闇の中で行動することもあるということです。そのような習性ゆえに、猫は光量を調節するために瞳を大きくも小さくもできるようになったと考えられています。