自分の車を所持している初心者ドライバーは事故リスクが30%高くなる
今回の分析には、オーストラリアのニューサウスウェールズ州の若い初心者ドライバー2万806人の情報が用いられました。
対象となったドライバーは、17~24歳であり、2002年と2003年に初心者用の「Pプレート」を所持していた人々です。
そして研究チームは、彼らの事故データを2016年まで追跡し、自分の車を所持することと事故率にどんな関係があるのか分析しました。
その結果、マイカーを運転する若者は、家族の車を借りて運転する若者よりも、運転1年目に事故を起こす確率が30%も高くなると分かりました。
そしてそのリスクは徐々に減少していくものの、少なくとも数年間は高い状態にあることも分かりました。
研究チームによると、自分の車を所持している若者は、免許取得後7年経っていても、家族の車を借りている若者より事故率が10%高かったといいます。
また、より重大な事故(入院や死亡に繋がる事故)に焦点を絞った場合にも、同様の傾向が認められました。
マイカーを運転する若者は、家族の車を借りている若者と比べて、免許取得後の1年間で重大な事故を起こす確率が2.7倍であり、3年目であっても1.5倍だったのです。
(件数自体は少ないものの、)若者が自分の車を運転しているだけで、事故による死亡や入院のリスクが3倍近くも高くなると考えると恐ろしい傾向と言えます。
では、どうして自分の車を所持しているか、家族の車を借りているかで、ここまで大きな違いが出るのでしょうか。
研究チームは、「免許取得後1年という最も危険な期間に、自分の車を持つことで制限なく運転してしまう」ことがその原因だと考えています。
自分の車を持っていると、どうしても愛着がわき、ドライブしたくなります。
運転が楽しくなり、友達を乗せて遠くに出かけたり、夜間に運転したり、ちょっと無茶してみせたりしたくなるのでしょう。
また「元から車好き」で、運転に自信があり、スピードを出してしまう人が、免許を取得するとすぐに自分の車を持ちたがる、というケースも考えられます。
研究チームは、自分の車を所持している人の方が、「自分は他の人よりもはるかに優れたドライバーだ」と考える傾向が強かったとも述べています。
一方で、自分の車を持たず、家族の車を借りる若者は、そもそも運転する機会が限られます。
また所有者である親が、「長距離運転禁止」「複数人の友達を乗せることの禁止」「夜間の運転禁止」などルールを定めていることもあります。
さらに、自分の所有物ではないので、傷つけないよう慎重に運転する可能性もあるでしょう。
これらの要素が、親の車を借りる初心者ドライバーを守ってきた可能性があります。