「選択的夫婦別姓を考えるきっかけに」
Think Name Projectの石塚啓(いしづか・さとし)氏は「日本は世界で唯一、結婚時に名字を変えなくてはいけません。そして、改姓の95%が女性と大きく偏っている」と話します。
日本では年間に約50万組が結婚し、その過程で名字の多様性は着実に減っており、すでに無くなってしまった名字も少なくないという。
その中で石塚氏らは、選択的夫婦別姓の導入について人々に考えてもらうきっかけになればと思い、今回の試算シミュレーションを発案したそうです。
試算を担当した吉田氏も「名字にはその地域の文化や歴史があり、名字の存続は必要ではないか」と考えています。
とはいえ今回の結果は、あくまでも単純計算にもとづくシミュレーションであり、本当に2531年には日本人全員が「佐藤さん」になることはあり得ないでしょう。
研究者も調査報告の中で、
「この推計は数々の仮定のシナリオに基づく暫定的試算であり、確定した将来を示すものではありません。
試算に用いた『佐藤姓』は現行の制度の『見える化』のためのサンプルであって、『佐藤姓』そのものに対する何らかの評価をするものではありません」
と注意書きをしています。
また名字とは別に、現在の日本ではかつてないペースで少子化が進んでおり、人口が減少の一途を辿っているという大きな問題があります。
2531年に全員が「佐藤さん」になる前に、日本人自体がどれくらい残っているのかが危惧される状況です。
現実的な問題を考えると、500年後には佐藤さんでさえも存亡の危機に陥っているかもしれません。