「農業の儀式」として神に捧げられた可能性
研究者によると、3人の女性が見つかった場所はただの平凡な埋葬地ではありませんでした。
3人の女性は穀物などを保管する「サイロ」という貯蔵庫を模した大型の容器の中に埋葬されていたといいます。
さらにその上には地中に埋められたサイロを覆う形で、木造の構造物が建てられていました。
加えて、その木造の構造物は夏至の太陽の通り道と一致するように建てられ、日の出の光がサイロに取り込まれるように設計されていたのです(下図を参照)。
それからサン=ポール=トロワ=シャトーに見られる他の埋葬地には、遠く離れた場所から集められた動物の骨や出土品などが多数見つかっています。
これらを踏まえてチームは、この地域が人々の多く集まる「儀式の場」であり、3人の女性は農業に関連する儀礼のために、神への捧げ物として人身御供にされた可能性が高いと結論しました。
ただその方法として、なぜインカプレッタメントのような残忍な方法が取れられたのかは定かでありませんが、研究者らは「誰かによって殺められるのではなく、自分自身の体の力で首を絞めて死に至ること」が重要視されたのではないかと見ています。
古代人の目には、このような亡くなり方が自らの命を自らの意志で神に差し出しているように映ったのかもしれません。
さらにチームが調査を進めてみると、インカプレッタメントの手法は今回の例より遥か昔から古代ヨーロッパで度々行われてきたことがわかってきました。