体の中でアルコールが作られる謎の病気
ビールがおいしい季節になりました。今日のこの1杯のために仕事をしていたという人も多いのでは?
そんな酒飲みもビックリの病気があります。
自家醸造症候群(Auto-brewery syndrome:ABS)という病気は、体の中でアルコールができる病気です。
アルコールが自分の中で勝手にできると聞けば、こりゃ酒代が浮くわと浮かれるおじさんも多いでしょうが、ABSはそんなに生易しい病気ではありません。
カナダで50才の女性が急性アルコール中毒で7回も病院に担ぎ込まれました。この女性は休日にワインを1杯飲む程度で、普段はほとんどお酒を飲みません。
しかし2年前から、日中なのに異常に眠くなるようになったのです。眠気のために仕事ができず、転倒する有様です。
医者の診察を受けると、ろれつが回らず、吐く息からはアルコール臭がします。家族も本人も一切飲んでいないと言いましたが、医師はアルコール中毒と診断しました。
最初に救急車で運ばれた時、血中アルコール濃度は39(正常範囲< 2)mmol/Lもありした。これはせん妄状態となって眠り込む、泥酔状態の時の血中アルコール濃度に等しいのです。
ただの酔いと違って、この異常に眠い状態は1週間以上も続き、その間は食欲もなく、仕事もできないそうです。
消化器内科で抗真菌剤の投与とともに管理栄養士から食事指導を受けて、食事を低炭水化物に切り替えたところ、即座に症状は消えました。
このような奇妙な症状がおきた原因は何なのでしょう?