パスタを食べたら飲酒運転に! 危険なABS
アメリカの自家醸造症候群患者の支援団体「Auto-Brewery Syndrome Advocacy and Research」では、ABSが社会に認知されることでABSにかかっている可能性がある人を助けることができると啓蒙を行っています。
ABSは奇病であり、滅多にかからない病気ですが、かかると社会生活が営めないほどのダメージを受けます。
例えば患者にまつわるエピソードには以下のようなものがあります。
2004年に大学へ通うために中国からオーストラリアへ引っ越してきた青年は、月に1度、何も飲んでいないのにひどく酔っぱらうようになりました。彼はアル中扱いされ、仕事も首になり、2011年に中国へ帰国することになります。
2014年、27才の彼は北京の病院に入院、集中治療室で治療を受けます。彼はただの炭酸水を飲んでいただけなのに意識を失い、病院に搬送されたときには、なんと肝臓が重度の脂肪肝になっていたのです。
これは過度の飲酒をしている人に見られる症状です。
また別のヨーロッパの男性では次のような事例もあります。
2023年、ベルギーの40才の男性が飲酒運転で捕まりました。このとき彼は法定制限の4倍を超えるアルコール濃度が検出されたのです。
飲酒運転で逮捕された当日、男性はABSの自覚がなく、パスタを食べただけでアルコールを一滴も飲んでいなかったため、なぜ酔っているのかが自分でも理解できなかったそうです。
結局、ABSと医師が診断、裁判所が無罪判決を出すまで1年もかかりました。この男性は鼻の手術をしたのが、ABSにかかったきっかけだったと後に判明しています。
酔いたくもないのに勝手に酔ってしまい、そのせいで社会的地位を失う病気なんて、なんとも恐ろしい病気があるものです。