生命に満ちあふれた惑星
地球には非常に多くの生物が存在しています。2011年のダウハルジー大(カナダ)とハワイ大(アメリカ)の研究によると、地球上の生物の種類の総数は870万種類です。地球はまさに生命に満ちあふれた星といえるでしょう。
太陽から地球までの距離は約1憶5000万kmで、ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)に位置しています。
ハビタブルゾーンとは液体の水が惑星の表面に存在できる軌道の範囲です。つまり、表面温度が0℃~100℃の範囲です。これは主に星系の中心にある恒星との距離によって決まります。
地球は太陽からちょうどいい距離にあるため、この温度条件を満たしているのです。そして、ハビタブルゾーンにある地球には太陽から生命活動に必要なエネルギーが過不足なく供給されています。
太陽系で、ハビタブルゾーンの範囲にある惑星は地球だけです。水星や金星は太陽に近すぎ、そして火星は太陽から遠すぎました。
ハビタブルゾーンの条件は、地球と同じような生命を持つ惑星を探すために考えられました。
生命居住可能領域と言いながら「液体の水」の存在が基準になっているのは、地球の生命は水がなくては生きていけないからです。
例えば、人間の場合、水なしでは5日も生きられません。地球の表面を覆う海は、生命に必要不可欠な水をたたえています。また、地球で最初の生命は海で生まれたと考えられています。海は生命のゆりかごなのです。
とはいえ、ハビタブルゾーンに存在することだけが惑星が海を持つことの絶対条件ではありません。火星にもかつては海があったという証拠も見つかっています。
それでは、なぜ最終的に地球しか海を持たなかったのでしょうか?
一つの要因として、惑星の材料となった岩石に含まれる鉱物の違いが考えられます。
地球の材料となった鉱物にはその成分として内部に水を含んでいました。この鉱物は含水ケイ酸塩鉱物と呼ばれていて、水星や金星付近の軌道では温度が高いために不安定になり水を吐き出してしまいます。
したがって水星や金星にはあまり水が蓄積しませんでした。火星は地球と同じように大量の水が蓄積されていましたが、重力が弱すぎるためにほとんどの水が宇宙に拡散してしまったのです。
地球には、水の他にも大気があります。地球の大気は、酸素、窒素、二酸化炭素の組成のバランスが生物の生存にちょうどいい条件で揃っています。
酸素は少なすぎると息が苦しくなりますが、多すぎると危険です。酸素濃度が高いと生体内で活性酸素が発生し細胞や組織に損傷を与えます。また、大気中の酸素が多いと火災が発生しやすくなります。二酸化炭素が無いと植物の光合成ができません。また、環境に二酸化炭素が多すぎると生物の体内で発生した二酸化炭素を排出することができなくなります。
大気を保持するためには、惑星の大きさや質量も重要です。
水星や火星は地球の半分くらいの直径で重力が弱すぎるため、地球のような大気を保持できませんでした。金星は地球と同じぐらいの大きさですが、二酸化炭素による温室効果が暴走したため、表面での圧力が90気圧、温度が400℃という高温高圧の世界になってしましました。
このように、地球は生命が繁栄するために必要な多くの条件を満たしています。遠い昔には金星や火星も地球に似た環境だった可能性が指摘されていますが、現在ではこれらの惑星は生命が住みやすい環境とは言えません。
地球だけが生命にとって理想的な環境を絶妙なバランスで保ち続けてきたのです。
もちろん地球とまるで異なる環境の方が快適という生命も存在するかもしれません。しかし現在のところ、この宇宙において地球以外に生命の存在は確認されていません。