女性のADHDは見つけづらい
研究チームは、スウェーデンの首都ストックホルムに住むADHD患者8万5330人を対象に、性別、ADHDと診断された時の年齢、診断前後における精神疾患の有無、薬物治療などを調べ、その関係性を分析しました。
その結果、ADHDだと診断される女性の平均年齢が23.5歳であるのに対し、男性は19.6歳であることが分かりました。
女性のADHD診断は、統計調査でみても男性に比べて4年も遅れているのです。
ではなぜ、女性のADHDは発見しづらいのでしょうか?
まずあげられている要因が、ADHD研究の初期段階では、研究対象が主に男性に限定されていたため、診断基準や評価方法が男性の症状に基づいて開発されたという点があります。
女性は基本的に男性ほど活動的ではないため、ADHDの症状における多動性の症状は出にくい傾向があります。これは子供の場合、女子のADHDの発覚を遅れされる原因になるのです。
また「忘れ物が多い」とか「集中できない」などの特性は、女性の月経周期によるホルモンバランスの変化でも起きるため、なおさら女性のADHDを発見しづらくしています。
結果的に女性は、男性に比べADHDであることが発見しづらく、診断の遅れが彼女たちに多くの苦痛をもたらしていると考えられるのです。
このためADHD患者が他の精神疾患を抱える割合も、女性の方が男性に比べて2倍も高いと判明しました。
例えば、不安障害(日常生活に支障が出るほど強い不安を感じる)を抱えるADHD患者の割合は、男性が25.9%なのに対し、女性は50.4%でした。
また気分障害(うつ病や双極性障害など)を抱えるADHD患者の割合は、男性が19.5%なのに対し、女性は37.5%でした。
こうした差も、女性ではADHDであることの発見が遅れ、適切なサポートを受けられないことが要因にあるのではないかと推測されています。
そのため、周囲の人たち(特に親)も、「女性のADHDは見つけづらい」ことを意識して、本人の悩みや特性に目を向けてあげるようにしましょう。
それは悩んでいる人自身においても同様です。
そうすることで、生きづらさを感じて苦しい気持ちを癒やして、サポートして行くことができるかもしれません。