・ヨルダンの遺跡で炭と化した14,400年前の「パンの残骸」が発見される
・これまでに見つかった「パン」としては最古のもの
・そこからパンを食べる文化が始まり、農耕が開始される「新石器革命」につながったことが考えられる
ヨルダン北東部の遺跡にて、14,400年前に狩猟採集民が焼いたとされる「パンの残骸」が見つかりました。これまでに発見された「パンの存在の証拠」としては最古のものとなり、それは「農業」が始まる少なくとも4,000年も前の時期に当たります。
コペンハーゲン大学、ロンドン大学、ケンブリッジ大学の研究者らによって行なわれた調査で発見された黒焦げの「パンの残骸」。野生の穀物をパンにして食べていた当時の習慣が、人々が農耕を開始した「新石器革命」につながったとみられています。
http://www.pnas.org/content/early/2018/07/10/1801071115
「これは、14,000年もの時間をさかのぼった当時の食習慣を知る手がかりとなる、非常に貴重な発見です。これにより、狩猟生活をしていた私たちの祖先が、大麦などの粉をふるいにかけて『パン』を作っていたことが分かったのです」と語るのは、研究を率いたコペンハーゲン大学の植物考古学者、Amaia Arranz Otaegui 氏です。
野生の穀物をパンに変えるまでの作業は、当時ではとても時間のかかるものであったことは想像に難くありません。そしてその「手間」こそが、より効率的に穀物を栽培することを目指した「新石器革命」の背後にあったと考えられます。
14,400年前に「パン」がつくられた当時、遺跡付近の「ナトゥフ文化」における狩猟採集民の体は、徐々に座り作業に適合するように変化していた過渡期であったといいます。これにより「パン」といった食における大きな発明が、当時の食生活を変え、文化を変え、さらには体までも変えてしまったことが示唆されているのです。
via: phys.org / translated & text by なかしー
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