ホオジロザメを絶滅から救うために
映画『ジョーズ』でもお馴染みのホオジロザメは、最大全長6メートルを超える凶暴なサメです。
人間を襲う事例もたびたび報告されており、一見すると「ホオジロザメが減っても別に困ることはない」と思うかもしれません。
しかしホオジロザメがいなくなることは、私たち人間の生活にも多大な影響を及ぼすといわれています。
というのも、私たちが日常的に摂取するタンパク質の約20%は海洋生態系から得ています。
そしてこの海洋生態系の多様性を維持し、健康に保っているのは、ホオジロザメのような頂点捕食者なのです。
つまりホオジロザメが海からいなくなってしまうと、海洋生態系のバランスが崩れて、今まで通りの食糧が海から得られなくなると懸念されています。
こうした研究者たちの懸念は、ホオジロザメの個体数が世界的に減少傾向にあることから年々大きくなっています。
ホオジロザメの数は1970年から2018年にかけて、すでに約3分の1が消失しているのです。
その原因は人々による密猟や混獲、生息地の破壊、および温暖化による海水温の変化など、多岐に渡ります。
そこで研究チームは、急速に変化する海洋環境の中でホオジロザメの保全活動を正しく進めるために、遺伝的多様性の正確な認識が必要だと考えました。